熊野簡易軌道・くまかん

最初に軌道の概要などを書いておいた方がいいですね(先月の記事は忘れてくださいね☆)。


【農業支援鉄道】

熊野簡易軌道・くまのかんいきどう(略称は「くまかん」又は「くまかん軌道」)

柚ノ木谷(ゆのきだに)線

・所在地 紀伊半島の山奥

・軌間 610mm

・区間 平谷中野~雲~柚ノ木谷(雲~柚ノ木谷は工事中)

・距離 0.15km(平谷中野~柚ノ木谷)

・保有車輌 2輌

・軌道敷設の目的 車の入れる道の無い先にある柚ノ木谷の農地への農業資材や肥料などの運搬及び収穫物の運搬など。


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【熊野簡易軌道の名称について】

軌間(2本の線路の幅)610mm(2feet)のいわゆる「ナローゲージ」と呼ばれる小さな軌道です。一般的には「ナローゲージ・イコール・軽便鉄道(軌道)」と呼ばれることが多いようですが、ここ「熊野簡易軌道」は・・・何故か「簡易軌道」と名乗っています。その名の通り「簡易な軌道」とゆうこと・・・ではなくて、かつて北海道内にのみ存在した「殖民軌道・・・後の簡易軌道」に由来して名称を拝借しています。ですから「簡易な軌道」だから「簡易軌道」ではなくて「(北海道の)簡易軌道」に想いを寄せて(憧れて?)「簡易軌道」なのです。ですから「本格的な軌道なのになんで簡易軌道なの?」と聞かれることもありますが・・・そんな理由ですから、「軽便鉄道」とは少し意味が違ってきます。


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「鉄道」と表記せずに「軌道」としているのもその北海道に存在していた「簡易軌道」が「簡易鉄道」ではなく「簡易軌道」と呼ばれていたためです。「簡易」と「軌道」の2つの単語を組み合わせたのではなくて「簡易軌道」とゆうひとつの単語と解釈戴けたら幸いです。その本来の北海道の簡易軌道は・・・北海道内のみに存在していた国営軌道でしたからあえて断りを入れるまでも無く「簡易軌道」と言えば「北海道の簡易軌道」を指します。ですからあえて「北海道の」と付け加えるのは正しい表記ではないかも知れませんが今回は説明の便宜上とゆうことでお許しください。


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しかし残念乍ら現役の「簡易軌道」はもうありません、全て廃止になりました。そしておそらくもう2度と現実の簡易軌道が復活することはないでしょう。ですから「熊野」とあえて付け加えなくても堂々と「簡易軌道」と名乗ってもどこからもチャランケは付かないのでしょうが、私の北海道とゆう場所に対しての特別な想いがありましたり、本来の簡易軌道とは運営も目的も何もかもが違いますから・・・その辺りを遠慮して、恐れ多くも「簡易軌道」を名乗らせて戴いているとゆう感覚です。ですから「本当は(北海道の)簡易軌道とは何もかもが違って全く何の関係も無い軌道なんだけど簡易軌道と名乗っている軌道」とゆうことで、あえて「熊野」を冠せて「熊野簡易軌道」としています。


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この軌道の敷設されている場所が三重県の熊野市内になります。鉄道に詳しい方なら「湯の口温泉のトロッコ電車」をご存知かも知れませんが、その近くです。ただ「熊野簡易軌道」の「熊野」は「熊野市の熊野」とゆう意味では無く「熊野地方の熊野」とゆう想いで付けています。もちろんその「熊野」には三重県内に限らず和歌山県内も奈良県内も含まれるわけですが、実際に軌道が存在しているのはここだけですし他に出来る予定もありません。北海道の簡易軌道があえて「北海道簡易軌道」とは名乗っていませんでしたが、現実に北海道の広範囲に渡り多く敷設されていましたから、私の個人的な軌道も名称だけは大きく名乗りたいと思っていました。しかし「紀伊簡易軌道」だと語呂が良くないような気がしますし「紀州簡易軌道」だと実在の鉄道会社と間違えられそう・・・などと思いまして、行政などが正式名称としては使っていない?・・・けれど世界遺産などではわりと使われる「熊野地方」から「熊野」を拝借しています。北海道ほど大きなイメージは湧きませんが、それでも気に入ってる名称です(自分で言ってます☆)。


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また本来の簡易軌道が鉄道の類としてみなされず「道路の一種」「道路の変形型」としてみなされていたように、熊野簡易軌道もこれに倣っています。ですから見た目は鉄道ですが私の中ではあくまでも道路・・・農道の一種のつもりでいます。例えば「ガイドウェイバス」とゆうのが名古屋に走っていますが、あれをバスと見るか鉄道と見るか?法規上では鉄道になります・・・車体はどこからどう見てもバスにしか見えませんし一般的な鉄道のレールも見当たりませんが・・・立派な鉄道です。それとは逆の解釈で熊野簡易軌道は農道の一種とゆう位置づけでいます。これを鉄道と見るか、道路を走る車輌に見えるかは・・・人それぞれです。


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【農業支援鉄道とゆう実用と目的】

一般の鉄道法規によらない個人的な鉄道です。農道の一種と言ったばかりなのに鉄道と書くにはいささか矛盾もありますが、その辺りは都合良く鉄道になったり道路になったりしています。私は現在1町歩程度を耕作している農家を営んでいます。このうちの約1割の面積が軌道のある柚ノ木谷にあります。ここは長い間、耕作を放棄された農地でした。放棄されてしまう理由は様々ですが、ここは農地へ入るための道が狭く軽トラを乗り入れることさえ出来ませんでした。何を運ぶにも全て手作業で急な坂道を何往復もしなければならない立地にあります。出来ることならば私も長くここで耕作を続けたいと思っていますので、体力が落ちてからでも安心・安全な輸送手段が欲しいと思っていました。単に軽トラの入れる道路(私道)を作れば難なく目的は遂行出来るかと思いますが、残念乍ら話はそれで終わってしまいます。


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目的が無事に遂行できればそれで充分なのですが、プラスアルファを求めた場合は道路では少し物足りないような気がします。耕作放棄農地や山間部での営農を知ってもらうために・・・それはそれらに興味のある人を呼ぶのではなく、農業にも田舎にも興味の無い人に・・・とりあえず現状を知ってもらいたいと思っています。ですから農業とも田舎とも関係の無い、興味も無い人がここの鉄道を目指して来てくれたら嬉しいと思います。それで農業を始めて欲しいとかではありませんし、興味を持って欲しい・・・とも思いませんが実際に見て知ってもらえたら充分です。ただの道路でしたら私は誰も呼べる自信はありませんが、鉄道を敷設したおかげで1年間で120人(のべではありません)の方がいらっしゃってくれました。こんな山奥まで・・・遠くは北海道や鹿児島からも駆け付けてくれました。多くの方が山間部の営農を見て耕作放棄農地の現状を見てくだされば充分ですし、もしもそれでご自身が家庭菜園を始められたり、野菜などを購入する時に国産や産地にこだわって選ばれるようになったら私はそれで充分、この軌道が敷設された意義があると思っています。


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また工場や鉱山などで小規模な軌道・鉄道は昔はたくさん使われていましたが合理化とゆう名の元(など)で多くが廃止されてしまいました。しかし軌道はA点からB点へのように決まった場所へ決まったものを運ぶにはとても優れた輸送手段です。何も10km無ければ役に立たないとか100mじゃ物足りないとゆう次元の問題ではありません。たとえ5mであっても実用とゆう用途があれば立派に活躍してくれます。逆に実用とゆう目的があれば距離なんて関係ありません。自宅の庭を走る鉄道・・・実用の目的なんて後付けでいいのですが、そんな実用鉄道が広がっていったら私はとても嬉しいです。「個人で鉄道なんて絶対無理」と私も過去に言われた経験がありますが・・・今私は目の前に実現しています。鉄道の復権・・・などと言いましたら大袈裟ですが、個人的な・・・それはトロッコ軌道であるならむしろこれから注目されてゆく輸送手段だと思っています。実用トロッコ鉄道とは言いましても実用本位ではなく・・・そこに楽しさ面白さがどんどん付け加わってゆくように思います。「これはいいものだ」と誰かに何かを勧めても勧めた本人が使っていなければお話になりません。私は多くの人に助けられ乍らも個人で鉄道を敷設しました・・・絶対に無理とゆうことはありませんでした。こんなに面白くて楽しくて実用できる輸送手段が増えていってくれることを夢見てしまいます。


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実用としての農業を支援する鉄道はもちろんのこと、田舎にも農業にも興味の無い人にこの鉄道を通して何か伝えていくことが出来る可能性があるかも知れません。更に個人のレベルでも本物の鉄道を実現することが出来るとゆうことを伝えてゆきたいと思っています。そのほかいろんなことをレールの上に載せて汽車を走らせたなら「農業支援鉄道」などとゆう小さな枠の中に閉じ込めてしまうのがもったいないような気がしますが、それでもその小さな枠の中からでもこの軌道があれば私は何かメッセージを伝えてゆくことが出来そうな気がします。


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全線150mの中に起点・終点を含めて7つの駅を置きます。本当の実用だけを考えれば不要な数です。しかしそれぞれひとつひとつの駅に「理由」を無理矢理でも付けてあげることで「意味のある駅」に発展します。そして小さな改変が・・・わざわざであったとしても作ってあげたらそこに歴史が生まれます。それは架空の話ではなく、目の前で現実に起きている歴史です。ただ歴史を作っていると言ったら大袈裟になりましょうし自己満足の世界に入ってゆくわけですが、単なる遊び目的では無く実用とゆう目的があればその歴史も活き活きしてくるように思います。山間部での営農の現実はとても厳しいです。離農して出てゆく人の気持ちが私はよくわかります。こんなに苦労しなくてもいい仕事があるんじゃないか・・・よ~くわかります。でも私はここで営農を続けてゆくことでしょう。何故か?ここに私の軌道があるからです。その軌道を運営して守ってゆくことが出来るならどんな困難も私は乗り越えられそうな気がします・・・そんな意味で実は「自分支援鉄道」みたいなところがあるかも知れませんね。



 

次回【平谷中野駅】に続き(?)ます。くれぐれも先月の記事は忘れてくださいね☆


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どてかぼちゃ

私は、自営業でもなければ、
ましてや農家でもないので、
くまかん様ほど実用鉄軌道の必要性はないというか、
それこそ、軽トラどころか、当社の場合、
台車があれば十分なんですけど、
やっぱりトロッコ転がして運びたい。
やはり、線路を作る以上、
何らかの必然が欲しいんですよねー。
夢は車庫から玄関までの15インチゲージ敷設です(笑)。
くまかん様が常々おっしゃっている通り、
どんなに短くても私も「自家用実用鉄軌道」として、
線路を敷設したいと思っています。
でも、いつの事になることやら…(泣・笑)。
by どてかぼちゃ (2009-10-03 06:32) 

くまかん

どてかぼちゃさん、いつもありがとうございます☆
>当社の場合、台車があれば十分なんですけど・・・
そうそれでいいんですよ、最初はそんなところからです。
台車があれば済むんだけど・・・あえて余計な(?)理由やこじつけをして線路を敷いてゆく☆敷いてしまったらもうこっちのもんです☆あは☆
by くまかん (2009-10-03 10:50) 

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by お名前(必須) (2013-10-14 18:50) 

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